「ヨークカラーファン」

＊ヨークカラーファン

・ここでは、卵黄色の判定基準として有名な「ロッシュヨークカラーファン」（ＲｏｃｈｅＹｏｌｋＣｏｌｏｒＦａｎ：ＲＹＣＦ）について解説しています。（2003.12.03追加）

＊解説中の「判定基準」等の内容については、ロッシュ・ビタミン・ジャパン（株）アニマル・ニュートリッション部が作成した「ロッシュヨークカラーファンについて」を参考に作成しています。

ロッシュヨークカラーファンの成り立ち

・たまごの卵黄色は、Ｑ＆ＡコーナーのＱ６に示している通り、含まれている栄養価とは直接関係はありません
　が、料理などのできあがりの色調に関係してきます。
　料理や食品（加工品）では、見た目の色もおいしさの判断の１要素となります。
・消費者には、ある程度、卵黄色の濃いものの方が人気があるようです。このため、養鶏場によっては、卵黄色
　が濃くなるパプリカ（ピーマンの仲間）や唐辛子、アルファルファ（豆類）などの植物性飼料であるを与えていま
　す。これらを与えなくても、鶏の主食であるトウモロコシの色素が卵黄に移行し、自然な卵黄色になります。

・卵黄の色調を判定するための器具は、通常の養鶏用飼料（エサ）を与えられた鶏から得られる卵黄色調の自
　然な変動範囲に適合するもので、客観的かつ容易に判定できるものでなければなりません。
・「ロッシュヨークカラーファン」（ＲｏｃｈｅＹｏｌｋＣｏｌｏｒＦａｎ：ＲＹＣＦ）は、スイスのＲｏｃｈｅ（ロッシュ）社によって開
　発された「卵黄色調測定器具」です。Ｆａｎ（ファン：扇）の名の通り、この器具を広げると扇状になります。
　卵黄色を測定するために、一般的に用いられる手段として広く認識され、世界中の国々で「卵黄色判定の基
　準」として受け入れられています。

・ＲＹＣＦの色調は、カラートライアングルのうち「卵黄色調帯」（ｙｏｌｋｓｔｒｉｐ）として認められている部分を１５段階
　に分けた色として設定されています。
　「卵黄色調帯」は、実際に様々な鶏卵を測定した波長から計算されたものです。これらの１５段階の色は肉眼
　で容易に区別でき、また、卵黄色調帯淡黄色から橙赤色（赤オレンジ色）に至る色調変動に対応できるよう
　に考慮されたものです。

「判定基準」について【測定方法】
ＲＹＣＦは、容易にかつ客観的に卵黄色を測定するものです。しかし、その測定にあたっては、より正確性を保証するために、Ｒｏｃｈｅ社では以下のガイドラインを推奨しています。
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１．	一連の試験（測定）の中では、同じ判定者がその評価をつかさどることが望まれます。（判定基準の統一性確保のため）
２．	卵黄色を判定する際には、その背景を白、灰色もしくは黒にして下さい。これは、周辺の色の影響を極力抑えるために必要です。
３．	卵黄色を判定する際には、拡散天然光（間接光）のもとで行って下さい。直接光では卵黄表面の光沢が反射の原因となりがちで、特に強い人工の光を使う場合は、その反射が顕著となります。直接光は判定を誤らせる原因の一つとなりますのでご注意下さい。
４．	扇状に広げたＲＹＣＦを手に持ち、速やかに卵黄の上にかざして下さい。そして、視覚的に最も近い色を選びます。この際に、色番号の表示がない側で行うと主観が入らず、よいでしょう。
５．	現在では、卵黄色を調整（濃く）するために様々なカロテノイド類が養鶏用飼料に添加されています。その中にはＲＹＣＦを設定した当時には用いられていなかったものも存在しますので、判定の誤りとならないようご注意下さい。

① ＲＹＣＦ（ＲｏｃｈｅＹｏｌｋＣｏｌｏｒＦａｎ）と収納ケース

② 扇状構造のＲＹＣＦ

③ ＲＹＣＦを扇状に広げたところ

④ 色番号の若番部分のアップ

⑤ 色番号の老番部分のアップ

＊カラーファンの詳細について

・以下に、卵黄色の評価方法として知られている「カラーファン」の色調や過去のカラーＮｏ．変更経緯等について解説します。（＊2005.09.25追加）

ヨーク（卵黄）カラーファンについて

鶏卵は、機能面から大きく、栄養素補給のための一次機能としての「栄養機能」と、見た目の色や味、香りとい
ったおいしさが人の感覚に与える二次機能である「感覚機能」とに分けられる。
カラーファンは、このうち二次機能である「鶏卵の卵黄色」を数値的に評価するものです。

卵黄色の評価について

卵黄色の測定には、１９６５年以降、ロッシュ社（roche）のカラーファン（扇状の色見本セット）が他の色標準に
徐々に置き換わって使用されるようになりました。現在では、卵黄色を測定するファンの数も１５に増え（最初の
ファンの数は１２）、我が国においては最も一般的な卵黄色の評価方法となっています。
（近年では、電子的に色調を判定する測定器も出てきています）
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カラーファンは、数年おきに少しずつモデルチェンジされ、その時々の卵黄色の評価に影響を与えてきました。
カラーファンの最新版は１９９３年版であり、それ以降のモデルチェンジは行われていません。
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＊カラーファンＮｏ．の版数による変化については後述

ロッシュ社について

「roche」社（スイス）のビタミン・ファインケミカル事業は、現在「DSM Nutritional Products」社に引き継がれて
います。この会社では、飼料、食品、医薬、化粧品用途のビタミン、カロテノイド等の化学品の分野におけるトッ
プメーカーとして国内外での事業を展開しています。
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日本国内では、１９３２年に「日本ロシュ株式会社」が設立され、１９９８年には「ロシュ・ビタミン・ジャパン株式
会社」となり、ビタミン・ファインケミカル事業に特化したメーカーとして活動を開始しました。その後、２００４年に
は「ＤＳＭニュートリッションジャパン株式会社」（東京都港区）に社名変更しています。
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それに伴い、「ロッシュヨークカラーファン」（ＲｏｃｈｅＹｏｌｋＣｏｌｏｒＦａｎ：ＲＹＣＦ）は、「ＤＳＭヨークカラーファン」
（ＤＳＭＹｏｌｋＣｏｌｏｒＦａｎ：ＤＹＣＦ）として引き継がれています。

カラーファンＮｏ．の変化

下表に、過去に３種類（３版）出されている「ロッシュヨークカラーファン」の色調Ｎｏ．変化について示します。
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１９７９年版	１９８７年版	１９９３年版【最新版】
７	６．５	７
８．５	７．５	８
９．５	８	９
１１	９	１０
１２	１０．５	１１
１３	１１．５	１２
１４	１２．５	１３
１４．５	１３．５	１４
１５	１４	１５

＊カラーファンには、卵黄色以外に「卵殻色」用の「シェルカラーファン」があります。「シェルカラーファン」については、こちらをご覧ください。